偽装☆ROMANCE [中編]
一緒に帰るのは、無理そうだった。
なんか、余計なことを言っちゃいそうで。
涙が、出てきてしまいそうで。
後ろを振り返ると、もう暁名さんは見えなくなってた。
もう大丈夫かな、と思い携帯を取り出す。
由良ちゃんに頼んで、先に帰ったってことにしてもらおうと思った。
今まだ私を待ってるのかと思うと、申し訳なく思ったけど。
悲しくて、苦しくて…。
もうこれ以上、由良ちゃんのふりして笑えそうになかった。
出口に向かって歩いてると、目にはいったジェットコースター。
恐かったけど、楽しかったな。
今日は1日夢みたいだった。
偽物だけど、あの人と過ごせて。
私にとっては「本物」の時間だった。
手を繋いだのも
笑った顔も、照れた仕草も
私を探してくれたのも
キス…したのも。
あの日、ホッカイロを渡したときから何一つ変わらない。
私にとっては本物だったの。