Ray ~破滅~
1、解放
自分がどうしてそんな人間になってしまったのかは分からない。
いや、どうしてなんていう問い自体おそらくは意味を持たないのだろう。
理由なんて、あるはずがないのだから。
「礼くんは素直で、本当にいい子ね」
昔からそう言われてきた。
別に、その言葉に不満はない。
そう言われるように、生きてきたのだから。
そう言われて、母さんはいつも嬉しそうだった。
自慢の息子だと言っていたところさえ、見たことがある。
ふざけた話だ。
素直だなんて、俺を表すのにそんなに不適切な言葉はない。
俺は幼いころからすでに、自分の本性を隠して生きてきた。
周りの言う「いい子」を演じてきた。
ただ、周りの望むとおりに。
だけどそこに、本当の俺の姿は欠片もなかった。
いや、どうしてなんていう問い自体おそらくは意味を持たないのだろう。
理由なんて、あるはずがないのだから。
「礼くんは素直で、本当にいい子ね」
昔からそう言われてきた。
別に、その言葉に不満はない。
そう言われるように、生きてきたのだから。
そう言われて、母さんはいつも嬉しそうだった。
自慢の息子だと言っていたところさえ、見たことがある。
ふざけた話だ。
素直だなんて、俺を表すのにそんなに不適切な言葉はない。
俺は幼いころからすでに、自分の本性を隠して生きてきた。
周りの言う「いい子」を演じてきた。
ただ、周りの望むとおりに。
だけどそこに、本当の俺の姿は欠片もなかった。