短編オムニバス「平和への言葉」
「あそこ? あたしも行くところなの。一緒に行ってあげるよ」

女の子はそう言うと、俺の左手を握った。

右手は、ポケットの中に入っている。

起爆装置を握ったまま。

「一人じゃ恐いんでしょ? 大丈夫、あたしが一緒に行ってあげる」

女の子は、俺のさっきのつぶやきを聞いていたんだ。

そして、勘違いしたんだ。

俺は、どうしようか悩んだが、女の子の手を振り払うことはできなかった。

その手はとても小さく、そしてとても暖かかった。

ぎゅっと握りしめるその力は、思いのほか力強かった。



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