短編オムニバス「平和への言葉」
「あそこねぇ、あたしのパパがいるとこなんだ。お仕事の途中で、お昼ご飯を一緒に食べようって、パパが誘ってくれたの。だからね、もうすぐパパが降りてくるのを待ってるんだ」

女の子は無邪気な瞳で、俺を見上げながら、そう言った。

「おにいさんは? 誰に会いに来たの?」

問われて、俺は口ごもった。

もごもごと、

「いや、仕事で来たんだ。大事な用事で」

と、答える。

ウソじゃない。

大事な任務だ。


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