短編オムニバス「平和への言葉」
「恐いの? 大丈夫だよ、一人じゃないよ。あたしがついてるよ」

励ますように、女の子は言う。

「一緒に、いってあげる」

俺には、「一緒に逝ってあげる」と聞こえた。

そうだ。

俺が行動を起こせば、この小さな女の子も道連れになる。

この子はあの建物に行くんだから。

俺の持っている爆弾は、建物ごと破壊できるほどの威力があるはずだった。

少なくとも、1階部分を破壊する威力はある。
あとは、下の階を吹き飛ばされた建物が、自然に崩壊するのを待つだけだ。

どちらにしろ、この近辺にいれば、いやでも巻き添えをくらうだろう。



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