短編オムニバス「平和への言葉」
「ぅぎゃああああん、ああぁん」
いきなり、腕の中の赤ん坊が泣き出した。
身をよじって、彼から離れようとするかのような動きをする。
「ど、どうしたんだ? どこか痛いのか?」
慌てて彼が赤ん坊を抱き直し、揺すったりあやしたりし始めると、赤ん坊はすぐに泣きやみ、濡れた瞳で彼を見上げて、にっこりと笑った。
彼は安心すると、また別のことを考える。
――あいつらが、自分たちが悪いのに謝りもしないから、悪いんだ。制裁は加えるべきだろうな……
しばし、発端となった諍いに想いをめぐらす。
思考に気を取られ、あまり構って貰えなくなったのを悟ったのか、赤ん坊は必死に小さな手を伸ばして、彼の顔に触れたり、足をぱたぱた動かして、遊びを催促する。
その動きに、思わず愛しさがこみ上げて、彼は赤ん坊を抱き締めた。
優しく揺すりながら、
――やはり、明日にはあのボタンを押すべきか……
そう、決心をしようとした時。
「ぅああああん! あぁぁあん!」
腕の中で気持ちよさそうに戯れていた赤ん坊は、先ほどより激しく泣き出し、身をよじって涙を流しだした。
いきなり、腕の中の赤ん坊が泣き出した。
身をよじって、彼から離れようとするかのような動きをする。
「ど、どうしたんだ? どこか痛いのか?」
慌てて彼が赤ん坊を抱き直し、揺すったりあやしたりし始めると、赤ん坊はすぐに泣きやみ、濡れた瞳で彼を見上げて、にっこりと笑った。
彼は安心すると、また別のことを考える。
――あいつらが、自分たちが悪いのに謝りもしないから、悪いんだ。制裁は加えるべきだろうな……
しばし、発端となった諍いに想いをめぐらす。
思考に気を取られ、あまり構って貰えなくなったのを悟ったのか、赤ん坊は必死に小さな手を伸ばして、彼の顔に触れたり、足をぱたぱた動かして、遊びを催促する。
その動きに、思わず愛しさがこみ上げて、彼は赤ん坊を抱き締めた。
優しく揺すりながら、
――やはり、明日にはあのボタンを押すべきか……
そう、決心をしようとした時。
「ぅああああん! あぁぁあん!」
腕の中で気持ちよさそうに戯れていた赤ん坊は、先ほどより激しく泣き出し、身をよじって涙を流しだした。