短編オムニバス「平和への言葉」
彼は、ようやく気付く。
彼が、ボタンを押すことを考えると、赤ん坊は泣き出すのだ。
「……おまえは、いやなのか? ボタンを押されるのが?」
おそるおそる、そんな莫迦なと想いながら、彼は赤ん坊に話しかけた。
産まれてたった6ヶ月。
成人した彼には、ほとんど変化のない6ヶ月。
だが、3キロにも満たない小さな身体だった赤ん坊は、もう倍以上も大きく育った。
それは、赤ん坊には大きな変化だ。
ただ乳を飲むだけで、何も出来なかった身体が、あやされれば笑い、何かを訴えるようにこちらを見る。
めまぐるしく成長をとげている、愛しい存在。
たった6ヶ月の間に、彼にとってはかけがえのない存在となっている赤ん坊。
何もできないと思っていたのに、今、その赤ん坊は、彼がボタンを押すのを思いとどまらせようとしているのだ。
彼が、ボタンを押すことを考えると、赤ん坊は泣き出すのだ。
「……おまえは、いやなのか? ボタンを押されるのが?」
おそるおそる、そんな莫迦なと想いながら、彼は赤ん坊に話しかけた。
産まれてたった6ヶ月。
成人した彼には、ほとんど変化のない6ヶ月。
だが、3キロにも満たない小さな身体だった赤ん坊は、もう倍以上も大きく育った。
それは、赤ん坊には大きな変化だ。
ただ乳を飲むだけで、何も出来なかった身体が、あやされれば笑い、何かを訴えるようにこちらを見る。
めまぐるしく成長をとげている、愛しい存在。
たった6ヶ月の間に、彼にとってはかけがえのない存在となっている赤ん坊。
何もできないと思っていたのに、今、その赤ん坊は、彼がボタンを押すのを思いとどまらせようとしているのだ。