短編オムニバス「平和への言葉」
「おまえ、意味がわかっているのか? ボタンを押すことの意味を?」

いや、赤ん坊に意味などわかるはずがない。

赤ん坊は、ボタンを押すことによってもたらされる悲惨な結果を、イメージとして捉えているのだろう。

彼が、無意識にそのイメージを思い浮かべ、赤ん坊はそれを感じ取っているのだ。

「……いやなのか……」

彼がそう呟くと、赤ん坊は必死に彼にしがみついてきた。

小さな身体で、小さな手で、力いっぱい。





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