私の王子様-社長【完】
秘めた想い
あの日以来、私と陽はあまり話さなくなった。
それと日曜日に行く予定だった、達也との約束は陽によって阻止された。
それに、陽は社長だから暮らし始めて1か月近くたった今
いつものように私を送ってくれることも、夜早く帰ってくることもできなくなっていた。
同じ家に住んでいるのに1日1回も会わないこともあった。
きっと、陽に出会ったころの私ならこれを喜んでいただろう。
あんな変態野郎とあまり会わなくてすむんだから。
でも今の私はおかしい。
むしろ会えないことを悲しんでいる。
それに陽の顔を見れただけで急に胸がドキドキして
体中の血が顔にのぼっていくのがわかる。
この異変に私はある種の恐怖を覚えた。
一日考えるのは授業中以外は陽のことばかり。
百合の話も達也の話も全く聞いていないという有様だった。