私の王子様-社長【完】
あきらめて後ろを振り向くとお母さんがいない。
そしてさっきまで明るかった空が真っ暗になり
冷たい風が吹く。
「おかあさん…?どこ…?どこなのおかあさん!!」
そう叫ぶと聞こえてきたのは
『あんたなんて嫌いよ』
お母さんがいつだったか私に言った言葉だった。
『あんたなんて産まなければ…』
『死ねばいーのよ』
『売っちゃった』
どんどん聞こえる言葉に私は耳をふさいだ。
そして生まれてきたことに後悔する。
私なんか死ねばいい…
死ねばいい…
そうすれば誰も傷つけない。
私すらも傷つかないのだから。
そこで私の意識は薄れていった。