蕾
「梓ちゃん、ごめんね呼び出して~~」
拍子抜けするくらいノーテンキな佐々木さん。
そう、佐々木さんは女性なのだ。
「いえ、佐々木先輩。それより私なんか呼び出して何か有ったんですか?」
彼女は大学の先輩なのだ。
私をかってくれているのも彼女。
本当にやり手のキャリアウーマンなのだ。
佐々木さんは机から降りて私の前まで来た。
「梓ちゃん、私に付いてきてくれる?」
は???
「な……なんですか?それ…」
私が不思議な顔をしていると、キョロキョロと周りを見てから声のトーンを落として
「私と一緒に会社やらない?」
こ……これって……
引き抜き?!
「佐々木さん……急過ぎます」
すると笑いながら、
「そうよね。梓ちゃん、今日開いてる?」
「はぁ、大丈夫ですが……」
「じゃあ、7時に会社のロビーで待ち合わせしましょう。詳しい事は会社じゃ話しにくいわ。」
そういうと、佐々木さんは窓の方に行き私に一輪のバラを取り私に渡した。
「良いお返事を期待しているわ」
そう言って私の胸ポケットに赤いバラを挿した。
私は高級そうなドアを開け廊下に出ると、1つ大きく溜め息をついた。