蕾
「行きつけのバーが有るのよ」
私の緊張を感じ取ったのか、笑顔で告げる佐々木先輩。
「そうなんですか。楽しみです」
私も笑顔で応戦。
そんな会話をしている間に、駅の近くに着いていた。
「あっ、そこで大丈夫」
そう言うと、運転手さんは急カーブで路肩に横付けした。
ドアが開くと、
「出てて」
と言って、サラッとお金を払う先輩は格好良かった。
先輩が出てくると、目の前に有る看板を指さし
「ここよ」
と言うと、地下に下る階段を降りていく。
何だかオシャレなんだけど高級感漂う看板だったけど……
『私、お金大丈夫かなぁ~』
なんて無意味に考えてしまった私は、やっぱり一般人なんだと思う。