蕾
次の日、まだ眠そうな涼を残して先に会社に向かった。
昨日、早く上がってしまったから仕事を片付けるのも有るんだけど、冷静に一人で考えたかったのだ。
会社近くのコーヒーショップで大きめのコーヒーと朝食を買うと、急いでデスクに向かった。
私のオフィスは少し上めに有るから、本当に眺めが良いのよね。
朝日が上り赤く町を染め上げている。
こんな景色を見ながらの仕事も、終わってしまうのかしら?
そう思うと、何だか少し悲しく思えてきた。
気を取り直し、机に貼られたメモ書きを一枚づつ読んでいく。
すると、一枚のメモ書きに目が止まった。
【社長から内線でお電話が有りました。明日、十時に社長室にお越しくださいとの事でした】
社長から?
割りと社長との触れ合いが多い会社では有るけど、そんな直々に電話が来るなんて……
なんだろう?
その付箋をパソコンの一番目立つ所に貼り、忘れない様にしてみた。