蕾
最上階に有る社長室。
ほとんど降りた事が無いし、用事もないから滅多に来ない。
毛足の長い高級感溢れるフカフカな絨毯にヒールをとられながら、真っ直ぐに社長室へと向かった。
一度深く深呼吸すると、大きく三回ノックをする。
―――コンコンコン
中から低い声が聞こえたので、自らの名前を名乗り少し待ってみた。
やはり、ちょっと緊張しているらしく、珍しく手には汗をかいている。
「どうぞ」
開けて下さったのは、社長の秘書。
柔らかい笑顔で、私を中へと招き入れてくれた。