蕾
「好きなもの頼みなよ」
たまに、涼が自分より年上に感じる事が有る。
例えば、こんな時。
優柔不断な私がメニューが決まらなくて涼に丸投げしても、笑いながら涼は全てをサラッと決めてオーダーしてくれる。
こんな時、私は内心尊敬する反面、
『いつもはドMのクセに~』
と、自分しか知らない涼を知っている事に優越感を感じる。
やっぱり、私はひねくれていると思う。
ウェイターが赤ワインを持ってきて、私達の前に置いた。
赤ワインのフルーティな香りが鼻を刺激し、何とも言えない幸せな気持ちにさせてくれた。
「カンパイ」
そう言うと、赤色の液体を口に含んだ。
噂通り、最高に美味しくて幸せな気持ちは最高潮に達する。