蕾
―――ガシャーン
思わず持っていたナイフとフォークを落としてしまい、店内に凄い音を響かせてしまった。
一気に注目を浴びると同時に、ウェイターさんが飛んできて謝りながら変わりの物を持ってきてくれた。
悪いのは私なのに。
本当に良くできたウェイターさんだと思う。
気を取り直し、私は体を涼の方に向けた。
「えっ…と、それは……あの…」
うまい言葉が見つからなくて、しどろもどろになってしまう。
だって、それって……
「プロポーズだよ」
そんな事を、サラッと言ってしまう涼はズルい。
「わ……私だよ?ドSなんだよ?」
無意味な念を押し涼に聞き返すと、涼も笑いながら
「そう、ドSの梓さんが良いの」
「でも、私、仕事が…まだ辞められないし……」
すると、涼は私の手を取りながらこう話した。