蕾
これ以上ない幸せな時を、まだ半分くらい信じられない私。
キラキラ光っている薬指を見つめたまま、女として生まれてきた喜びを噛み締めていた。
年下だからとか、頼りないから心配とか……
沢山悩みの種が出てくると思っていたのに、心のなかに沸き上がるのは
『涼の彼女で良かった』
と言うキモチだけ。
それにしても、こんな時もう少し気が利く言葉がでると思って居たのに……
まだまだ、私もお子様なのかもしれないな。
目の前ですごく嬉しそうに私を見つめている涼が、さっきの男らしさと対照的で、なんだか笑えてしまう。
「な……なんで笑ってるの?」
不思議な顔をする涼に、
「何でもない」
そう言うと、満面の笑みを返した。