蕾
そう、役職は上がるけどいつもの場所でいつも通りに働くのが、私の希望。
社長には、全てを話し結婚の予定も話したのだ。
初めは驚いていたものの、快く承諾してくださった社長。
本当にありがたい。
「ふふっ、相変わらず不思議な人ね。何かあったら連絡頂戴ね」
そう言うと、先輩は立ち上がり「行きましょうか」と声をかけた。
慌てて立ち上がり、コートを着る私。
私もいつか先輩みたいになれる日が来るのかしら?
そんな事を考えて居る間に、サラッとお会計を済ませて外に出る先輩。
きっと……無理そうね。
そう思いながら、小走りで先を行く先輩を追いかけた。
先輩にお礼を告げると、私達は駅の改札で別れた。
先輩が見えなくなるまで、ずっとお辞儀をしていた私。
なんとなく。
ただ何となく、そうしていたかった。