蕾
「……好き」
離れた唇から溢れた第一声が、私の本音。
「俺も好き」
私の瞳を見ながらニコッと笑うと、何事も無かったかの様に再び歩きはじめた。
冷たくて氷の様だった涼の体は、いつの間にか私の体温と溶け合っている。
夫婦って、きっと体温みたいなのかな?
片方が苦しんで居るときは、もう片方が助けてあげて中和させるの。
だから、二人じゃなきゃダメ。
二人だから、幸せも二倍。
きっと、そうなんだね。
真っ直ぐ前を見ながら歩く涼の横顔を見上げ、心の中で呟いた。
『よろしくね、旦那さん』
――――End――――