蕾
私は追わなかった。
本当は、追いかけたかったのに…
『大好き』って抱きつきたかったのに……
私の中のS的要素が、私を行かせなかった。
苦しい。
切ない。
胸が締めつけられて、死んじゃいそうになるよ。
本当の私は…そんなに強くない…
別れてしまった。
これだけは、紛れもない事実。
そして、私はまだ好きだって事も事実。
私は、その場で泣き崩れていた。
次々と脳裏によぎる、涼との楽しい思い出達は私を一層悲しい気持ちにさせた。
涼にとって、私って何だったんだろう。
もしかしたら、Sな私は苦痛でしか無かったのかもしれない。
もしかしたら、涼はMじゃなかったのかもしれない。
いや、そんなはずは……
無いとは言い切れなかった。
ねぇ、全て私のエゴだったのかな?