蕾
はち合わせ
私は、行きつけのお店に1人で行った。
ちょっとお洒落なダイニングバーのカウンターに座った。
「今日は飲んだくれてやる!!!」
心の中でそんな宣言をしながら飲み始める。
顔馴染みのマスターに、
「強いの」
と頼むと、一瞬驚いた顔をしたものの無言で作り始めた。
マスターのそんな気遣いが嬉しかった。
私はマスターから差し出されたカクテルを、ものすごいハイペースで飲むと
「おかわり」
そう言って、空のグラスを差し出した。
確か、そんな会話を5回位繰り返したはずだったんだけど……
全く酔えない。
何でよ?!
普段は、そんなにお酒が強くないのに!!
そんな私を見て、さすがにマスターも心配したのか
「大丈夫?何か有ったの?」
って聞いてきた。
何かあったも何も、大有りよ。
私はため息をつくと、
「実はね……」
と、話始めたの。
すると、後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「あ……梓さん」