その時、フッと腕を掴まれて体が浮いた。


私は掴まれた先を見ると……



涼が居た。



「梓さん、大丈夫?怪我してんじゃん」


当たり前の様に私を起こし、スーツの汚れを落としてくれる涼。


「…涼……何で…居るの?」


相変わらず可愛くない返事。

まだ、理解出来ない状況。


どうなっちゃってるの?


「心配だったから…来ちゃった」


涼は、頭を掻きながら気まずそうな感じで話した。


「…………」


状況が飲み込めずに黙りこんでしまう私。
涼は、そんな私を見ると


「あっ…やっぱり迷惑だったよね。ごめん」


そう言って帰ろうとした。

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