蕾
仲直り
私は、涼のスーツの袖を引っ張った。
「ん?!梓…さん??」
振り向いた涼は、目を見開いて驚いていた。
もう、我慢できなかった。
私は泣きながら、
「…さっきの……彼女?」
と聞いてみた。
涼は、私の口からそんな言葉が出てくるなんて意外だったのだろう。
少し嬉しそうに聞いてくる。
「……気になります?」
そう言われると、素直になれない私。
「………」
私はまたしても「うん」と言えなかった。
涼はそんな私に、いきさつを話してくれたんだ。
「ずっと、ご飯行こうって誘われていたんです。俺、梓さん居るからって断ってたんですけど、別れちゃったしもうヤケクソで」
涼が……涼がフったんじゃない。
でも、そんな涼が私と同じ気持ちで居てくれた事が嬉しかった。
「…お店に……戻るの?」
私は俯いたまま聞いた。
「戻って欲しくないですか?」
意地悪な涼。
私の性格を分かっているくせに……