蕾
私は涼に抱きついたまま、顔を見ずに頷いた。
びっくり顔の涼は
「梓さん、あいかわらず素直じゃないですね」
そう言って笑っていた。
「……ごめん…なさい」
涼は、私をそっと抱きしめた。
私を抱きしめたまま、携帯を取り出して電話をかける。
「ごめんね、また今度にしてもらって良いかな?」
携帯から聞こえる女性の怒鳴り声。
「は?!?!ちょっと、どう言う事よ?マジありえないから!!」
私は、涼の携帯を取りあげ
「涼は私と付き合ってるの。だから、手出さないでね。あっ、そうそう!また今度は無いから。じゃ」
そう言って、一方的に電話を切った。
切ってしまった携帯電話を、無言で涼に押し付ける。
「梓さんには参ったな」
そう言って、また私を抱きしめた。
「…涼…好き」
珍しく素直な私に、またしてもびっくりした様子で私を見る涼。
私は涙を堪えて、涼を見上げた。
「……梓さん。俺やっぱ梓さんじゃないとダメかも」
そう言って、私にキスをした。
涼…やっぱり可愛い。
愛してる。