蕾
その時、トイレから帰ってきた静が私達に駆け寄って来た。
『桜木先輩、如月チーフ』
さすが、タイミング悪い子だわ。
私達は顔を見合わせて笑った。
そんな事を知るはずも無い静は、子犬みたいにコロコロと転がる様に走ってきた。
静は涼が教えている新入社員の内の1人で、涼に良く懐いている。
さすが、ついこの前まで大学生だっただけあり若い。
しかも、背が低く童顔だから余計幼く見える。
小動物みたいで男ウケしそうなタイプかな。
私が静を観察している横で、涼がタバコに火を付けた。
少ししかめっ面になる。
この仕草がたまらなく好き。
あ~~ん!!!
もう少し涼を見ていたかったのにな。
少しがっかりした。
静は涼の横に立つと、
「桜木先輩、何やってるんですか?」
涼は、静を見ながら
「休憩休憩。サボってる様に見えるか?」
そう言って、静の頭をポンポンと叩いた 。
あ~~あ。そんな事すると、その気になっちゃうぞ。
静は少し笑ってから、私の方を向き
「如月チーフも一緒に休憩ですか?」
なんて聞くの。
何??
何だか、意味深な言い方するじゃない。