蕾
「良い所だったのに!!」
そう言って涼は、携帯を取った。
私は、焦らされたままでどうしようもない体を、ジャージに隠した。
テーブルには、美味しそうなオムライスが湯気を立てて待っていた。
『美味しそう!!』
さすが涼君はやってくれるわ~~
私は、テーブルに着くとケチャップをかけた。
向こうの方で涼の話し声が聞こえる。
『何でも良いって。』
何の話だろう。。。
少し気になって話を聞いていると、どうやら静かららしいわ。
『梓先輩に聞いてみなよ。いつも通り俺は何でも食べるし…』
『いつも通り』……ねぇ…
そして、どうして携帯の番号を知っているのか気になるわ。
私は、苛立ったから先にオムライスを食べ始めた。
数分後、涼が戻ってくる。
「あぁぁぁぁ!!!梓さん先に食べるなんてぇ~~~ヒドイや」
そう叫んでいる涼を、シカトする私。
「……もしかして、電話の事を怒ってます?」
私は目線だけ上げて、涼を見た。
首を傾げて困惑気味の涼。
そんな涼に、私は
「座れば」
と、一言だけ発した。