蕾
私達はいつも通り、時間をずらして出勤した。
私がデスクに付くと、静がこっちに歩いて来た。
直接、静が私に用事なんて無いはずなんだけど……
まさか公然と宣戦布告じゃないわよね?!
「如月チーフ、今日の事ですが……」
そう言った静を、内心緊張して見上げた。
すると、私の前に恥ずかしそうに料理雑誌を出して並べた。
は????
まさか、今ここで話すの?!
静は、何の疑問も持たずにニコニコと料理の話をし始めた。
さ、さすが宇宙人……
ここまでだったとは。。。
斬新だわ。
涼がその様子に気が付き、慌てて私のデスクまで駆け寄ってくる。
静のミスは涼のミス、教育不足になるのだ。
「す…すみません。」
そう言って私に頭を下げる涼を、キョトンとしながら見つめる静。
「わ、私…何かマズい事言いました?」
静は両手を口に当てて、オロオロしていた。
周りも、ただならぬ様子に気づいたみたいで、手を止めてこちらを見始めた。
はぁぁぁぁぁぁ~~
「桜木君、戻って良いわよ。」
そう言って涼を帰すと、静の手を取り目に付かない場所まで連れて行った。