蕾
完全に落ち込む静に、
「何が悪いか分かってる?」
そう聞いた私に、静は大きな瞳を潤ませなりながら首を横に振った。
ガクッと肩を落とす私は、気を取り直して優しく聞いた。
「静、会社に何をしに来てるの?」
静は俯いたまま
「…仕事です。」
そう言った後、ハッと顔を上げて
「分かりました!!!」
そう言って笑顔になった。
ねぇ…………
気付くの遅いから。
誰よ、この子面接で取った奴。
私は内心毒づきながら、真剣な顔で
「分かったら、戻りなさい」
そう促した。
今夜行くの辞めようかな……
そう思わせるのに、相当する出来事だった。
私はクルッと向きを変えると、そこには涼が立っていた。