蕾
な…泣く事ないじゃない!
卑怯だわ。
しかし、そんな静を見捨てる事も出来ず
「何か有ったの?」
と聞いてみた。
しかし、意外にも静は
「すみませんでした、チーフ。もう大丈夫です。」
そう言って涙を拭った。
気丈に振る舞う静が演技をしている様に見えなくて、本気で心配になった。
しかし、私には何をしてあげられる訳でも無いのだ。
「今日楽しみにしてるから」
私はそう言って、静の頭を撫でた。
静はそんな私にビクッとした後、相変わらず真っ赤なまま、
「はい、私も楽しみです」
そう笑顔で答えると、静は戻って行った。