電話が切れるのと同時に、涼が出てくる。


私は慌てて元の位置に携帯電話を置くと、テレビを見ている振りをした。


本当は、今にも泣き出しそうなのを抑えて。


「鳴っていたよ」


私は涼に背中を向けたまま、興味が無さそうに言った。


「ああ、ありがとう。梓さんも入ったら?シャワー」


そう言って携帯電話を開く涼。


「誰から?」


そう、さりげなく聞く私に


「また、知らない番号」


そう言ったんだ。


私は無言のままお風呂場のドアを閉めると、涙があふれ出てくるのを抑えられなかった。


そのまま、地面にしゃがみこんでしまう私は弱虫だね。



何で、嘘つくのよ。。。



「涼のバカ」



私は小声で呟いた。



でも、もしかしたらやましい相手じゃないかもしれないし…


今はそう考えるしか忘れる方法がなかった。


私は、ヨロヨロと立ち上がるとシャワーを出した。
< 83 / 138 >

この作品をシェア

pagetop