蕾
次の日も、当たり前の様に会社の後で家に来た涼。
会社では、普通にしていたつもりなのに
「如月チーフ、何か有ったんですか?」
なんて静に気づかれてしまうし。
「別に。」
なんて答えたものの、本当は不安を全て話してしまいたかった。
でも、そんな事をしたら涙が止まらなくなりそうで怖かったんだ。
家に居ても、涼の携帯ばかり気になって会話も上の空。
「梓さん、聞いてる?」
涼の声にハッとする私。
私らしくないな……
「具合悪いの?」
なんて顔を覗き込む涼は、やっぱりカッコ良かった。
「大丈夫。ちょっと疲れてるみたい」
なんて強がる私。
ピタッと額に触れる涼の手。
ひんやりとしていて気持ち良かった。
「熱は無いみたいだ」
なんて心配してくれているのが嬉しくて、涼に寄りかかりながら
「涼……私の事好き?」
なんて、ものすごくベタな台詞を言っていたんだ。