蕾
すごすごと、服を着替える涼はかなりカッコ悪かった。
涼がそんな事する人だったなんて。
今はショックの方が大きくて、実感が湧かない。
「すぐに電話するから……」
そう言うと、家を出て行った。
私はしっかりと鍵を閉めると同時に涙が溢れ出してきた。
見なきゃ良かった。
本当に知らなくて良いことって有るんだよね。
きっと、涼が戻って来ても信用なんて出来ないよ。
もう、私達は終わったんだ。
私は冷たいドアに寄りかかりながら、溢れ出る涙を抑える事が出来ずに居た。
嗚咽が廊下に聞こえない様に必死に口を押さえながら……
この裏切りはかなりのダメージだったよ。