diary〜ありがとうの詩〜
僕たちはいつの間にか病院では有名になっていた。

純愛だのなんだの言われて恥ずかしかったけど、君は嬉しそうだった。

検査続きと病気とで体力を消耗仕切っている君はいつも寝ていた。
でも不思議と不安にはならなかった。



ある日、看護士さんに初めて話しかけられた。
いつも君のことを気にかけてくれている人だ。

「康介くん・・・でしたよね?」

『はぁ・・・』

「橋本さんの担当の倉見です。」

『いつもお世話になってます。』

すると倉見さんはにこっと笑った。

「望ちゃんね、いっつもあなたの話ばかりなの。
こうちゃんはね、こうちゃんはねって。
あなたのこと、本当に好きなのね。」


人にそう言われるとすごく照れた。
僕は顔が真っ赤になっていくのが分かった。

「あの日記、看護士の間で噂になってるのよ。
真似して彼氏とやり始めた子もいるくらい。」

『あれは・・・病気がきっかけなんです。』

「望ちゃんから聞いたわ。」

『僕、最初全然気付かなくて・・・
ほんと自分を恨みました。』

「あの段階で気づく人なんていないわ。
ガン探知犬くらいよ。
発見が遅れていたらこんなに長く生きられてないと思う。」
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