MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
第一章
交換条件
「はぁ?」
穏やかな午後の昼下がり。購買で『幻の焼きそばパン』という超人気メニューを数ヶ月ぶりに手に入れて幸せな気分だった俺に、こんなに不機嫌な声を出させたのは昨日転入してきたばかりの西嶋 リナだ。
「だーかーら、煙草。ちょうだい」
ハートマークでもついてきそうな語尾で小首を傾げるリナを横目に、俺の隣に座っている金田を睨み付けた。
てめぇ、俺の秘密をペラッと喋りやがったなと怨念を込めて。
金田は美少女に弱いのだ。しかもロングヘアーに大きな猫目で唇がふっくらしてる、ちょいエロ清純系。イコール、リナ。
いつかはこんな日が来るんじゃないかと予感はしてたよ。昨日だけど。
「いいけど、メンソールじゃねぇよ」
俺はごそごそとカバンを漁りながら言う。
「全然。むしろ有難い」
へぇ。女の子ってみんなメンソールが好きなんだと思ってた。ちょっと見直した。そしてそんな自分は男尊女卑な奴かもと一瞬考えた。
「はい」
「ありがとー。良かったら一緒に吸いに行かない?」
その時のリナの笑顔と言ったら。
中学三年の多感で健康な男子には抗えない色気があったんだ。