MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
タスクくんは「リナが初めて彼氏を連れてきた記念に赤飯を炊こう!!」とひとしきり騒いだ後に、電話で現実に引き戻され、迎えに来たマネージャーの車に乗せられて仕事へ行った。
芸能人に定時は無いようだ。
ちなみに赤飯は炊いていない。悪しからず。
華が一つ無くなったリビングは、広くはないけど綺麗に片付いている。殺風景ともいう。
必要最低限のものだけで暮らしているみたいだ。
美しい兄と妹がそこにいれば充分とでも言うみたいに。
目の前に座っていたリナは、ごく自然にタスクくんの座っていた場所に座り直す。イコール、俺の右隣。
「驚いた?」
リナは悪戯な笑みで俺の目を覗き込んだ。
タスクくんのことだろう。
「まぁ人並みには」
「そう?私は最初、もっと驚いたわよ。すっごい遠縁から引き取り手が引っ張りだされてきたことと、その引き取り手が人気俳優だったこととセットで」
「それは確かに」
「両親と恋人を同時に亡くして衝撃もぶっ飛ぶくらい」
嘘つき。
「寂しくない?」
今度は俺がリナの目を覗き込む番だった。
リナは一瞬キョトンとしてから、いつもの笑顔を浮かべた。
「別に。テレビつけたら大概タスクがいるし」
嘘つき。
リナは、嘘つき。