MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
タスクくんの料理は素晴らしかった。まるでホテルの一流シェフが作ったみたいだ。一般家庭で育った俺には、クリスマスだからといって七面鳥の丸焼きがテーブルの上に並ぶ光景なんて初めて見るものだ。
茹でたてのパスタはアンチョビが利いていて美味い。サラダのドレッシングも手製で美味いし、ケーキまで手作りのものが出てきたのには驚いた。
二日酔いでここまでの料理を作るだなんて、タスクくんはやっぱり『なんでも簡単にこなしてしまう嫌味な男』だ。
苺の乗った白いケーキを食べ終えると、タスクくんの提案でプレゼントの交換が行われた。
タスクくんからリナへは五角形、ペンタゴンの形をしたゴールドのネックレス。薄いピンク色の小さな石が右下に埋め込まれてる。華奢ですごく可愛らしい。
「で、これは充に」
そう言って渡されたのは、いぶし銀加工を施されたクロスが幾つも連なっている厳つくて重いチェーンだ。
「ブレスレット?」
それにしては長い。ネックレスにしては短いし。
首を捻るとタスクくんはニヤリと笑って「アンクレットだよ」と言った。
「あぁ、足首の」
「恰好いいじゃない」
優しいリナの笑みが嬉しい。
「アンクレットなら、場所を気にせずいつでも着けていられるだろ?」
「うん、嬉しい。ありがとうございます」
「だろ?俺って優しー親切ーイイ男ー」
そして俺たちは二人からと言ってタスクくんに例のピアスを渡した。
「お。イイじゃん恰好いい」
タスクくんは嬉しそうに早速ピアスを着けてくれる。
「これ、石は何?オニキス?」
「ううん。オブシディアン」
一瞬、リナの表情が強ばる。
「へぇ」
「隠された才能を引き出す石なのよ」
「これ以上イイ男になっちゃうなー俺」
俺たちは三人で笑った。