MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-

「おかえり」


玄関を開けて出迎えてくれたタスクくんの髪は、赤くなっていた。
次は映画でイカれた暗殺者の役をやるらしい。
赤は狂気の色だろ?とは、タスクくん談。


リビングのソファに落ち着くと、リナの淹れるコーヒーを待たずにタスクくんが話しかけてきた。


「勉強忙しい?」


「いや、予想よりは忙しくないですよ」


「じゃあさ、バイトしない?」


「バイト?」


「うん、モデルの」


「はぁ!?」


「充には素質あると思ってたんだよなー俺も」


「俺もって、他にも誰か?」


コーヒーを運んできたリナをチラッと見るが、ゆっくりと首を横に振られた。リナがタスクくんを促したわけではないらしい。


「だいぶ前だけど家にマネージャーが俺を迎えに来たことあったじゃん」


あぁ、タスクくんとの忘れ難い初対面の日か。


「あの日に充をチラッと見かけたらしくて、スカウトしたいって煩くてなー」


タスクくんは苦笑いしながら煙草に火を点ける。
俺も溜め息を噛み殺すためにそれにならって煙草に火を点けた。


「そんなに前の話がどうして今更?」


「中学生だったからな充が。一応、高校に上がるまで保留させといたわけ俺が」


タスクくん、良いお兄ちゃん決定。


「はぁ…」


「ま、充の判断に任せるけど。俺は向いてると思うわけ。全く興味ない?」


「別に、いいですよ。ヒマだし」


子どもはゲームに貪欲だし。
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