MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-

それでは早速。と言わんばかりのタスクくんの勢いに気圧されて、その週の週末に顔合わせを兼ねてモデル事務所に連れて行かれた。


芸能界に疎い俺でも聞いたことがあるような大手芸能事務所だ。そしてここの看板を務めるのが俳優task。
俺の隣に座っている、美しい兄だ。


仰々しく登場した代表取締役の佐伯さんは、想像以上に若く気さくな人だった。


「じゃあ、充くんは未成年だから後日ご両親にご挨拶に行くから」


そう言われて、面接(?)は終わった。
一応、両親には事情を話しているので『ご挨拶』とやらも形式的なものになるんだろう。そんなことを考えながら席を立つと、佐伯さんに声をかけられた。


「この後もし時間があったらプロフィール作成用に身長とか計らせてもらいたいんだけど。あと、宣材用のスチールも撮っちゃいたいな」


「良いですよ。ヒマだし」


そう言うと、佐伯さんはニッコリ笑って違う部屋へと俺を連れて行った。


そこで身長と体重とスリーサイズを計られた。


「お前、身長伸びてねぇ?」


俺の計測表を見ていたタスクくんが不機嫌な声を出す。
俺の身長は180cm、体重は60kgだった。
体重はそのままに身長だけ2cm伸びたのだ。


「本当だ。充くん、タスクと同じ身長だね。でもタスクの方が2kgデブ」


あぁ佐伯さんそんなことを言うと…


「へぇ…じゃあそんな身軽なミッチーにちょっと付き合ってもらおうかな」


タスクくん、目が笑ってないです。
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