MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
「いきなり有名人ね」
リナはキャットアイを大きく見開いて、いつもの完璧な笑顔を作る。
「おかげで煙草も規制された」
俺はムスッとしながらキリマンジャロブレンドと書かれたパックのコーヒーにストローを刺した。
「禁煙はしないんでしょ?どうせ」
見透かしたようにリナは笑う。
「当たり前だ。リナん家と自分ん家では吸ってやる」
あの雑誌が発売された日、俺はタスクくんから電話をもらった。
『もしもし?充、あの雑誌見た?』
『見ましたけど…表紙になるなんて聞いてませんよ』
ていうか、撮影するなんて聞いて無かったぞ。
『まぁ、いーじゃん。最初の仕事で表紙飾るなんてそうそう無いし』
そうそうあって堪るか。
『っと、そんな話がしたいんじゃなくてだな』
『なんですか?』
『お前、禁煙な。学校ではもちろん、プライベートでも人目につくとこは駄目』
『えぇ!?』
『当たり前だろ。お前はもう、いつ誰に見られてるかわかんないんだからな。未成年の芸能人が堂々と喫煙すんな』
『あぁ、そっか』
『そん代わり、自分ん家と俺ん家でなら吸っていいからなー』
いい人だ。
そんなやりとりの末に、俺は自宅と西嶋家以外での喫煙を禁止された。
あぁ、身体がニコチンを欲しがっている。