MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
「ありがとう、私ね」
空の近くが好きなの。
リナはそう言って、大輪の花のように微笑んだ。
本当の笑顔。
「へぇ、ちゃんと笑えんじゃん」
思わず言ってしまったが、どうやら禁句だったらしい。不穏な空気を感じて恐る恐るリナを見ると、いつもの笑顔。小首を傾げてキャットアイを見開くと煙草のせいでグロスのはがれた唇を半円にする。
「いつでもちゃんと笑ってるよ?」
それが笑ってねぇって言ってんだよ。
もしかしたらただの人見知りなのかもしれないけど。転入二日目だし。
だけど、いつもの笑顔はいつまで経ってもいつもの笑顔だった。
手放しで笑えない中学生。
それはなんだか大人びて見えた。
たまに見せる寂しげな表情がそれを更に誇張していたのかもしれない。
そして俺は何故か、その理由をリナ本人から聞くこととなる。