MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
「はじめまして、宜しくお願いします」
俺が頭を下げるとその人は、クスリと笑った。
「やぁね、改まっちゃって。また後でって言ったでしょ?」
顔を上げると、付け睫に縁取られた大きな目が微笑んでいた。
再三言うが、俺は芸能界には疎い。
しかしそんな俺でも知ってるモデルがそこに居た。
170cm近い長身に高いヒールを履いて、俺と目線が変わらない彼女は女性に人気のファッションモデル、中津 水城だ。
「また後でって…あぁ!!」
思わず指差してしまった俺の頭をマネージャー兼見張り役としてついてきていた佐伯さんがはたく。
「いてっ」
そんなやりとりを見ていた水城は、可笑しそうに笑った。小鳥の囀りで。
「ごめんね水城ちゃん。まだ充は礼儀ってものを教え込まれてないから」
「いいんですよ佐伯さん。可愛いじゃない、そっちの方が」
コロコロと笑う明るい水城は、世界的に有名なトップブランドの服を完璧に着こなしていた。ミニスカートから覗く細くて長い足が眩しい。
指は、リナよりも長いけど骨ばっていた。