MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
今日はファッション雑誌の撮影では無いらしい。
もっと被写体に重点を置いた、アーティスティックな雑誌(サブカルチャーとでもいうのだろうか)の、撮影だった。
主役はもちろん水城。
俺はその相手役ということで選ばれたらしい。
「改めて、宜しくお願いします」
「あは、かしこまらないでよ。撮影、楽しもうね」
そう言って水城は微笑むと、さぁ行こうと俺の指に自分の指を絡めてセットの中へと導いた。
リナじゃない指に触れるのは久しぶりだった。
撮影は順調に進んでいく。
コンセプトは年下の恋人との休日。
恋人というのだから、もちろん水城との絡みは距離の近さが求められた。
年下の恋人役の俺は、水城の肩に頭を預けたり
頭を撫でられながら抱き合ったり
キスの真似事までさせられた。
「緊張してないんだね」
撮影中にも関わらず、水城は話しかけてくる。
「普通、緊張しない?仕事とはいえ女と抱き締めあったりするの」
「してますよ。緊張」
嘘だ。
しかし水城はそれで満足したらしい。
俺は水城を強く抱き締めて、カメラを睨んだ。