MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
待ち合わせ場所に着くと、顔の半分を隠してしまいそうなキャスケットを被った水城が既に待っていた。
片手を挙げて合図をすると嬉しそうに駆け寄ってくる。
他にも誰かを誘っているのかと思っていたけれど、そうじゃないらしい。
水城は慣れた手つきで俺の左手をとると「どこへ行こうか」と言った。
「どこへなりとも。あ、でも俺まだ未成年なんでアルコールNGで。それ以外なら姫のお心のままに付き従いますよ」
おどけて言うと、水城は楽しそうに笑った。
「じゃあ深夜までやってるカフェに行こうか。私はアルコール飲むけどね」
笑顔の水城に連れていかれたのは、繁華街の奥にある洒落たカフェだった。表参道のMoMAで見た目玉が飛び出るほど高いソファを幾つも並べてる。だけど、座り心地は良くない。
値段に期待させられた俺の浅はかさ。
期待は裏切られるものなのだ。八割型。
「俺で良かったんですか」
「ん?」
ブラックコーヒーとコロナを注文し終えた俺は素朴且つ大胆な質問を隣に座っている水城に投げかけた。
「打ち上げの相手」
「あぁ、それね。うん、充くんに興味あったから」
「興味?」
「うん、ほらtaskと一緒に表紙になってたじゃない?あれを見た時から」
「タスクくんじゃなくて俺に?」
水城は、妖艶な眼差しを向けた。
「そうだよ」