MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
朝日の予感をさせて、空が白く霞む頃まで俺たちはカフェに居続けた。
俺は5杯目のコーヒーを飲み終え、水城は計9杯目のアルコール、赤ワインをあと少しで飲み終えるだろう。
そんなに酒に強くないのか、水城はもう酩酊しているようで俺の肩にしなだれかかる。
触れた場所が蒸気を発しそうに熱い。
「水城さん飲みすぎですよ」
苦笑しながら頭を撫でてやる。
撮影の時とは立場が逆転したみたいだ。あの時は俺が頭を撫でられていたのに。
「そろそろ行きましょうか」
もう少しで始発が出る時間だ。
「んん…」
俺はテーブルで会計を済ませ、水城を抱えるようにして店を出た。
ドアが閉まる寸前、振り返って店の中の様子を覗いてみる。
予感的中。
声が聞こえてきそうだ。
『あれって中津 水城だったよね?』
『あっ、やっぱり?一緒に居た男の子って誰!?』
『ほら、あれだよ!!taskと一緒に表紙に載ってた子!!』
みたいな?
可笑しくなって薄く笑うと、フラフラと隣を歩く水城が急に立ち止まった。
「充くん、私…」
サミシイノ。
そう言って彼女は俺に抱きついた。
俺は抱き締め返すこともなく横を向いて、路地の奥を見つめた。
走り去る背中。
子供はゲームに貪欲なんだよ。水城さん。