MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
「ユウキはママが好きだったのよ。私を身代わりに抱き締めてしまうくらい」
「どうしてわかる?」
「私も、ドアの外で聞いてたから」
二人の逢瀬を。
俺は目を伏せた。
夕日が嘲笑うかのように美しい。
ナイフで真ん中を切り裂いたらきっと真っ赤な血が溢れ出すんだ。リナの父親みたいに。
「クローゼットから出て、警察に電話をしたの。母が父を刺し殺しましたって。そして愛人と逃亡中ですって」
次の日、夫を刺し殺した美しい妻は愛人と共に車ごとガードレールを突き破って谷底で発見された。
「そのニュースを見て、私は喜んだの。そして喜んだ自分を呪った」
リナの目は暗かった。
俺が好奇心で知りたがった隙間はやっぱり暗く奥深い。
「私がいなければ、パパも死ななかった。私がいなければ、ユウキがママと出会うこともなかった」
カタカタと小さく震えるリナの肩を俺は抱いた。
リナは涙の代わりに微笑みをくれた。
俺はリナの望み通り、思い切り笑ってやった。
泣きそうなのは俺の方だった。