MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
「でもそんな事件なら俺も知ってそうだけど。西嶋だろ?そんな名前の被害者も加害者も覚えてねぇな」
帰り道、いつもより力を込めて手を繋いだ。
リナがどこかに行ってしまいそうだったから。
霧みたいに、ふわりと。
「西嶋は、タスクの名字をもらったのよ。タスクに引き取られるまでは海藤」
「あぁ…なるほど」
「養子縁組って、便利よね」
もう少しで、美しい兄の待つ西嶋家に着く。
リナは唐突に俺の手を離した。
「充は変わらないでね」
笑顔だけど、それは懇願だ。
「私に軽蔑も同情もしないでね」
「するかよ」
笑って言うとリナは満足そうに一つ頷いた。
そうして、少し一人で歩きたいと言うリナとそこで別れた。
一人で歩く帰り道。
俺は星を見上げた。
「空が好きなのは」
懺悔と祈りを、届けたいからなんだな。
不器用すぎる愛し方しか出来ない俺の女を想って、俺は泣いた。