MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
タスクくんは膝の上に置いた雑誌のページを退屈そうにめくっている。
俺は何の気なしに大きな窓から見える空を眺めていた。
本日も快晴なり。
「リナみてぇだな」
声に振り向くと、タスクくんがニヤニヤと笑いながら俺を見ている。
雑誌には飽きたらしく、鏡の前の台に置かれていた。
「空見てたから?」
「そう。リナも何が不満なのかわからない程、空を見上げるんだいつも」
知ってる。
「聞いたんだろ?リナの両親と恋人の最期」
「聞きました」
「一生、俺にしか話さないと思ってたのに」
妬けちゃうね?
タスクくんの目からは感情が読み取れなかった。
いつもそうだ。
笑みを絶やさない癖に感情を露にしない。
ズルい大人だと思う。
「妬いてるのは、俺の方ですよ」
また窓の外を見る。
憎らしいくらいの太陽が、俺を嘲笑っていた。
逸樹さんが持ってきてくれたコーヒーに口をつけたり、タスクくんと逸樹さんと三人で談笑していたら20分なんてあっという間に過ぎていった。
「じゃあ一回流すから」
「助かった!!」
ジンジンと痛む頭に、もう泣きそうだったのだ。
そして髪を洗ってもらってホッとした俺に逸樹さんが一言。
「じゃあ、もう一回脱色剤塗るから」
今度は本当に泣いた。