MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
スタジオで待っていた佐伯さんには、開口一番で髪型を褒められた。
「いいね。アーティスティックだ」
他のスタッフさんも同様に褒めてくれる。
自分の中ではまだ違和感満載なのに。
今日の撮影のコンセプトは『十代の渇望と破壊』
最初は作り上げられた完璧なセットの中での撮影。
後半からは俺がそのセットを壊しながらの撮影。
並べられた食器も椅子も間接照明も、手当たり次第に壊した。
足で何かを蹴る度に、足首のチェーンがチャラチャラと音を立てる。
そして苛立ちが更に物を壊させる。
それが撮影だというだけで悪循環にならないことが、救いになった。
そして最後にカメラマンさんから
「良い壊しっぷりだったよ」
と、笑顔で言われた。
それもどーかと思ったけど、営業スマイルを浮かべてありがとうございますと返した。
俺の狂気は出し入れ自由で助かる。
爆発させられる状況で、俺は狂気を飼い慣らしていくのだ。