MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
「結局、私は充くんの名前を売るのに一役買っただけかぁ」
マイナスなことを言ってるわりに、水城の表情は清々しい。
大人って感じ。
真ん中にある本当を、笑顔で隠す。
「水城さんサミシイって言ってましたよ」
「え?」
「俺に抱きついた時、サミシイって言ってました。覚えてない?」
「うん、全然。あは、私そんなに酔っ払ってたんだぁ」
照れたように両手で顔を隠し、瞬きを早くする。
可愛い女。
だけど、空洞を埋めるのは俺の役割じゃない。
「本当に欲しいものを、掴みとる努力をしなきゃ」
「えっ?」
「俺じゃないでしょ。本当に欲しいもの」
やだなぁ。五つも下の子にそんなこと諭されるなんて。
水城はそう言って、一つ涙を落とした。
そう、掴みとる努力をしなきゃ。
俺は水城に言うふりをして、自分に言い聞かせていた。