MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-

三つ子みたいに同じ形の家が立ち並ぶ住宅街。
それぞれ違うガーデニングの仕方で着飾られている。低い塀に蔦が絡まるもの、玄関の脇にドワーフの人形が立たされているもの。
唯一、何も飾られていないのがリナの家だった。


「バカ兄貴が起きてる時間かも」


「へぇ。兄貴がいるんだ」


「血はほとんど繋がってないけどね」


意味深。


リナはカバンからキーホルダーもついていない鍵を取り出して玄関を開けた。
想像はしてたけど、中身まで飾りっ気がない。
白い壁が目に痛いくらいだ。


「リナー?」


開けっ放しのリビングへと繋がるであろうドアの向こうから痩身でやたらと足が長い男がやってくる。


「頭痛薬どこだっけ?お兄ちゃん二日酔いでさぁ…っと、お客さん?」


「彼氏」


髪が…髪が…緑!!

ていうか、見たことあるこの人。


「あらま。傷心かと思いきや。やるねぇ、さすが我が妹」


ラブ。
両手でハートマークを作ってからその人は仏頂面のリナを抱き締めた。


「へーぇ。なかなかいい男じゃん。君、合格。俺の次にいい男よ。顔は」


あ、俳優にトラバーユしたモデルのtaskだ。
リナを抱き締めたまま俺をジロジロと上から下まで眺めるその人は最近ドラマでよく観る人気俳優だった。
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